July 23, 2011

再生する心とスピッツの名曲

スピッツは「ロビンソン」や「チェリー」、「空も飛べるはず」が世間的には代表曲となっていて、爽やかでドリーミンな音楽性と歌詞世界のバンドといった印象を持っている人が多いと思います。
よくよく聞くとロックだったり、変態的であったり、エロかったりするんですが、そこもよい。

近年のアルバムは、歌詞世界も曲調も力強くメッセージ性の強い曲が増えてきています。

個人的には「三日月ロック」以降のアルバムにこのような曲が増えてきたような気がします。

とはいえ、いわゆる応援ソングのような直接的な頑張れソングではなく、実は道はたくさんあるんだよとか、立ちはだかる壁は実は新しい扉だったとか、「直球でぶつかるのではなく様々な生き方・捉え方がある」という価値観の多様性を気づかせてくてる曲が多いです。

特に再生と再チャレンジのメッセージ性のある曲は、すでに成功しているバンドなのに、なぜこうもみずみずしくフレッシュな気持ちを持ち続けてこのような素晴らしい曲が作れるんだろうと、言葉では言い表せないほどの感嘆と感動を与えてくてます。

僕は不調・好調の波を繰り返しながら、最近は一歩一歩地に脚をつけるかのような回復の兆しを見せかけていますが、スピッツのこれらの曲は現状の自分の大きな支えになっています。

レールからはみ出した人、現状に閉塞感を感じている人、つまづいて行き場を失っている人にはぐっとくる曲が多いんじゃないでしょうか。

繰り返しますが、なぜ、成功したバンドなのにこのような曲が書けるのかは、東日本大震災のニュースで「急性ストレス障害」になったほど感受性の強い草野マサムネさんのメンタリティーにヒントがあるのかもしれません。

ということで、今回のエントリーでは、再生や生き方の多様性のメッセージ性のあるスピッツの曲をいくつか紹介したいと思います。


ビギナー(アルバム「とげまる」収録)



いわゆるソングライターズソング。
若い時の天から降ってくるような感受性は少なくなってきたけど、それでもいつでもビギナーのような気持ちを持って走り続けるという決意が篭められた曲。
夢を失いかけたとき、自分のこだわりが崩れそうな時に、この曲を聞くと勇気づけられます。

自分自身には、
「だけど追いかける君に届くまで 慣れないフォームで走り続けるよ」
というフレーズは、
ずいぶん先に行ってしまったように感じる同世代の友達に対しての感情とシンクロします。


ネズミの進化 (アルバム「さざなみCD」収録)



「じっとしていたら叩かれて 素直に進めば潰される よく見りゃいくつも道があり 実はその先も分かれてた 遅い気がしても 行けるだけ行ってみようかな」

高みに登るには一般的な価値観的に大きく成功するのではなく、ネズミのように抜け道を探すような進化の仕方と行き方があるといったメッセージ性のある曲。
このような視点の歌詞って草野マサムネならではですね。
素晴らしい。


砂漠の花(アルバム「さざなみCD」収録)



「はじめて長い夢からハミだす 考えてやるんじゃなく 自然にまかせていける」
「ずっと遠くまで道は続いている 終わりと思っていた壁も 新しい扉だった」

失った大切な人への想いが悲しみから昇華して生きる力になったという、再生をテーマとした力強くも美しいバラード。
個人的には、失ったものが多いけど、それを考えすぎず自然に任せていけるように、そして病気という高い壁は新しい世界へ、これからもずっと続いていく人生への生きる力を、この曲を聞くことによってもらっています。


恋する凡人(アルバム「とげまる」収録)



「鏡に映る妙な男 リセットボタンを使わず」
「消えたフリした炎でも 火種は小さく残ってた」

恋する気持ちの再生の曲。
自分は変わらなくてもいい、そのままの自分でいいんだというメッセージ性が篭められていると思います。

しかし好きだとか愛しているといったフレーズを使わずにここまでの珠玉のラブソングをかける詩人は稀有の存在ですね。
「これ以上歌詞にできない」
と言い切ってるところも素敵。


けもの道(アルバム「三日月ロック」収録)



「あきらめないで それは未来へ かすかに残るけもの道」
「怖がらないで 闇の向こうへ 手を伸ばす前のまわり道」
「すべての意味を作り始める あまりに青い空の下」

スピッツの中ではわりとわかりやすいストレートな応援ソング。
行き詰っても、先が見えなくても、けもの道のようなわかりにくい道はどこかにあり、まわり道してもいいんだよ、と教えてくれました。
体調が良い時にこの曲を聞きながら散歩して見上げた空が素晴らしく青かった時、自分が再生している途中、自分がこうなってしまった意味合いが見えたような気がしました。


今回紹介した曲に限らず、スピッツのアルバムは捨て曲がまったくない。
アルバムだけではなくシングルのカップリングも。
ダウンロードが主流になってきて、アルバムという形態の意味合いが薄れてきているけど、スピッツはアルバムアーティストとしても強いこだわりを感じます。


とげまる
とげまる
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スピッツ
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